陸軍中尉 折口 春洋
独立機関銃 第2大隊
昭和20年3月17日
硫黄島にて戦死
東京都品川区出身 38歳
もう寒に入っているのですから、東京などではすっかり霜がおりて寒々とした日が続いているでしょうに、こちらでは明けても暮れても青々とした荒草の原にいつも変わらぬ鳥どもが、ほんとに年中同じ鳥どもが鳴いていることです。
琉球などではあんなに美しい仏法僧なども見られたのに、こちらは又何とも言い様のない味のないところです。
新聞など読んでいると若い人々の勇ましい戦いのあとが偲ばれて、こんなにまでして戦っているのに、今年こそ本道に神々の天降りがあって、日本の輝きが現れるのだと、自信を持ちたくなって来ます。
東京で御想像下さっている様なこちらの戦局ですが、敵の動きがどういう風に来ますか、その時こそ我々の戦うべき時が来る訳です。
それもいつになりますことやら、来るか来ぬかは神ならぬ身の知る限りではありませんが、そうなれば日本人として恥じない程のことは、皆覚悟しているつもりです。