海軍大尉 古市 敏雄
宇佐海軍航空隊
昭和20年4月6日
南西諸島沖にて戦死
香川県高松市出身 23歳
昭和十九年六月二十五日
当直室から突然電話がかかって来ました。
母が来ているとのことでした。
午後上陸が許されるとすぐ倶楽部に急ぎました。
が途次、母が路傍で待っていてくれました。
以心伝心と言いましょうか。
それともそれとなく感じたのかも知れません。
軍人になっても、母が恋しいのであります。
学生時代はそうでもなかったのですが、海軍に入って、特に予備学生になってから痛切に感じます。
意志が弱いからでしょうか。
また人の子としての情なのでありましょうか。
倶楽部に落ち着いて、母と四方山話をしました。
でも話をするというより、ただ元気な姿を見ていただければ、それで満足なのであります。
話ぐらいならば、手紙でも用が足せますものね。
自分には母がある。
有り難いことだと思いました。
遠路はるばる逢いに来てくれる母が・・・・・・。